共栄木材

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35mm外壁材

 以前から思っている事なんですが、どんどん増えていく杉の中目材を如何に処分していくかについてです。今では船で上海や大連に丸太のままで大量輸出することをやって「日本の山を守ってる!」と声高に叫ぶ林野の関係者ですが、お金が国内に落ちないじゃないですか。そこで一計です。

 今から50年近く前に僕の父が、「中目材がなかなか売れんけど、板にして焼杉を作ったらどうじゃろ?」と言って焼杉を作る機械を作って始めたのが、昨今の「焼杉」の始まりです。なので、DNA的に僕の頭の中にも「いかに杉の中目材を利用するか」というのは、いつも片隅にあります。
 杉は一般的に1分間に0.7㎜燃えるって聞いたことがあります。20分燃えたとすると14㎜燃えることになります。市街化地区で、発火から消防車が到着して水がかかり始めるまでの時間は15~20分とかって聞いたこともあります。つまり、もし火事になって20分後に消火活動が始まれば火は鎮火に向かいます。その間に燃える木の厚みは約15㎜。
 なので、35㎜厚の外壁材を張っておくと、15㎜燃えたとしてもまだ20㎜の板の厚み分が残っています。普通の焼杉板の厚みは15㎜ですから、それよりももっと分厚く残っています。つまり、燃え代ですね。構造材には許されている部分です。

 杉板は柔らかいので、雨風に当たってると段々薄くなります。おそらく30年くらいたてば5㎜くらいは薄くなっているんじゃないかな?という経験値から本来30㎜で足りる厚みを35㎜とするのです。

 板は製材で挽いたままでも良いから、現場で片側だけ釘打ちする。現場は2~3ケ月掛かるからその間にたいていの板は乾燥します。そしてその段階でもう片方を釘留すると、乾燥できた板が留まる。当然隙間が出ているから、そのすき間は押さえぶちで留めると、すき間は通気する部分になります。
 板は木裏使いをすると、乾燥している間に反っても押さえぶちで押さえやすくなる。しかも芯材の赤身部分が多くなるので、耐久性が上がり、更に抜け節が少なくなる。

 CLT工場などのように大金を使う補助金を使わなくても、日本全国、杉板を挽くくらいならどこにでも製材工場はあります。杉の木も遠くから持ってこなくても、そこらにあります。つまり、日本国中にインフラは整っているのです。小さな工場も大きな工場も同じように、同じものが作れます。全くの地産地消が完成します。

 もうひとつだけ!この杉板が美しくなければ、やはりお勧めしたくありません。今、NHKで「渋沢栄一」をやっていますが、当時ペリーが浦賀から江戸に歩いてきた際、決して豊かでもない日本の街並みを見て、「なんときれいに掃除され、どの家々も一様に板張りされ、瓦が載せられ、本当に美しい街だ。パリよりも美しい!」と言ったそうです。そう、杉板の街並みは美しいのです。当時のパリよりも。

 仮に100,000円/m3で工務店に届けば、凡そ、製材も、材木屋もそれなりの利益が取れるんじゃないでしょうか?これをM2 に換算すると3,500/m2です。いわゆるサイディングよりも安いでしょ!
 地場産業を再興し、安くて、軽くて、美しくて、火災にも耐えます。耐久性の高さは言うまでもありません。30年50年と使用できます。使い終わって再生可能燃料として燃やしてもCo2の発生もありません。補助金も不要です。補助金は子供のこととか、必要なところで使ってください。

次、うちの会社で外壁を作ることがあれば、このやり方でやってみようと思います。安くて、じょうぶで、美しいが一番です!写真はうちの工場で、外壁材は横張りですが、38㎜の厚みがあります。もう12年経ちました。びくともしていません。

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