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北山杉 <本仕込>

先日、京都の北山杉の<本仕込>作業を見てきました。お客さんと同行した為に、作業そのものは今回は見れなかったのですが、今は杉の丸太を立てたまま乾燥させている状態を見てきました。

<本仕込>は冬から作業が始まります。伐採の約半年前に12メートル程の高さまで身一つで上り、ナタで枝を幹から10cmくらい残して落とします。そして通常であれば杉の伐採はお盆過ぎというのが、林業の常識なのですが、8月初旬に伐採をします。
親木と呼ばれる木に周辺の木を円錐形になるように1本ずつ切り倒して、頭の部分を集めていきます。その作業はとても危険だし、何十年もの経験を持った親方でないとできない技です。そして集められた木に、組の何人もが竹べらを持って上り、上から皮をむいて降りてくるんです。
皮を剥かれた杉は、立てたままその場で1週間程度乾かし、真っすぐな部分を選んで3m毎に玉切りをします。その竿当てをするのがまた名人芸なのです。真っすぐに見える木も、よく見ると真っすぐでない。あるいは木に傷を避けたり、表情の良いところを選んだりと、その竿当ては、利益に直結します。
玉切りされた丸太は、組のみんなが一列に並んで車の入る所まで手繰りで移動していきます。ここで傷をつけては、今までの苦労が水の泡。細心の注意を払います。
材木屋さんの倉庫に入った丸太は、光の当たらない木の倉庫で保管され、出荷前に<菩提の滝>の川砂で表面を磨かれてから、お客さんのところに出荷となります。

一般的に売られている磨き丸太は、水圧バーカーという水を高圧で掛けて杉皮を剥くので、<本仕込>の仕上りとは表面の硬さが違います。更に言うと15年、20年と経った時に、その色、風合いに大きな差が出ると言われます。

こういったものが、実は京都の茶室、社寺建築に生かされています。<本仕込>をやる北山の林業家も現在は一社しかありません。ちなみにこの材木屋さんは、桂離宮の納材業者でもあります。

こういったストーリーを知らないと、北山の丸太も、床の間にあるただの磨き丸太ですが、こういうディテールにこだわる文化こそ、日本が大切にしてきたものじゃないかなと、本当に感動しました。もちろん、量産による価格の安さとかも否定はしませんが、伝統や技に裏付けられた、日本の木材も、もっともっと勉強して、お客さんに伝えて提供していきたいと思いました。

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