少し時間が経った記事ですが、日経新聞に取り上げられたものです。
ここ数年開催されている瀬戸内芸術祭の中でも、結構評価の高い豊島の<島キッチン>。このレストランの庭には、ウェーブ状屋根の付いた縁台があります。
これは水道パイプ管で組み立てられた骨組みに焼杉の板が、うろこ状に、瓦替わりとして使用されています。安部良という建築家のもと、東京芸大の構造設計が入り、うちもこのうろこ状の焼杉制作で協力させて頂きました。
建築は時にこうやって地域に大きな刺激を与え、そこに住む者こそが気付かないその場所の良さを引き立て、この場所を次の世代にバトンタッチしていくことすらできる。すごいですよね。
この建築がなかったら、おそらくこのオネーさんも、近所のオバーチャンたちも、違う場所で生き、場合によればこの場所は、かつての<豊島>という十字架を背負いながら、静かに消えていたかもしれない。
ただの焼杉を、見事に料理して、その屋根の下に集う人たちに豊島の素晴らしい<場>を提供してくれました。しかも、このキッチンに来る人達に、カッコよさと、環境の良さを共感してもらいながら。僕たちもその作業に参加できたことが、今更ながら本当にうれしく思います。僕らは脇役で十分です。この写真のオネーちゃんが幸せそうに見えて…