2006年か、2007年に、僕は縁があって東京学芸大で90分の授業をしたことがあります。学生は約200名。最初は寝てる学生もいたし、明らかに興味なさそうに話を聞いていましたが、段々とこちらを向いて、話を聞いてくれているのが分かりました。手前味噌ですが、最後は、結構盛り上がった授業でした。演題は<環境とデザイン>。僕は学者でもないし、経験を通じた知識しかありませんが、木材の事をちゃんと伝えられたことが良かったです。
で、帰りの飛行機の中、「このままこの飛行機が墜落したら、自分の経験や知識は消えて無くなってしまうなぁ。小さな会社で誰もが出張や講習を受けることができないとすれば、会社の費用を使って得たその経験や知識は、会社のものだから、それはキチンと社員さんに伝えないといけんな」と思い、早速毎週最終営業日の朝30分間だけ<木材塾>を開催し、希望者に集まってもらい、木材にまつわる、構造、樹種、森林、流通、物性、価格、デザイン、建築等々様々に勉強してきました。毎週のテーマを探すだけでも結構大変でした。
含水率の違いで、木材がどの程度収縮するか?を社員さんは知っています。
火で木材が1分間にどの程度燃えるか?等分布荷重をかけた時のたわみ量の計算方法、日本の森林の埋蔵量は?軸組の伝統工法、必要壁量、耐候性、白アリ対策、欧米の木造住宅デザイン、製材方法、集成材、ヤング係数、合板、気乾比重…もう、切りがないほどやってきました。
ただ、社員さんが若干増え、参加者も各部署からやってくると、知識レベルや経験に大きな差が出始め、<木材塾>は、当初の目的から少し外れ始めました。
そこで、今年度からは、月次ミーティングの際に、社員全体に向けて15分程度の材木屋で働く者として備えておくべき基本知識を中心として、開催することにします。それとは別途に、テーマ別に数人のメンバーを集めて個別<木材塾>を不定期にやろうかと考えています。講師も今までは基本的に僕がやってきましたが、社員の中にも、経験や知識を他の社員に伝えなければいけない人が出てきているので、みんなで取り組みたいと思っています。
社外の方の参加も受け入れていますが、さすがに早朝だったので、ほとんど来られたことはありませんが、何人かは来られたこともあります。その人は伸びてますね。学んだ内容より、学ぼうとするその姿勢が素晴らしいですね。尊敬です。
<木材塾>も、形を変えて成長させていきたいです。