僕は材木屋をやっていて、社員さんをいっぱしの材木屋として育てるのは今の時代、とても難しいと感じています。なにより時間がかかるというか、終わりのない学びを続けなければいけません。体積が大きく、重いものを動かさないといけないから体力も要ります。いわゆる世間からの脚光も浴びません。裏方的な仕事です。クーラーや暖房の効いた場所での仕事でもない。インスタで「いいね」をたくさん押してもらえる仕事ではないかもしれない。
何の仕事でも同じだと思うけど、「頭で理解する」のではなく、「体が理解する」ようになるには、やっぱり10年は必要だと思うんですよね。
例えば杉板の含水率って、僕は持てば凡そ正しくわかります。杉の赤身の美しさやそのかぐわしい匂いは、嫌になるくらい触れていると、分かってくるんです。
案外、深いんですよ。その深みが分かってくると、仕事が面白くなってくる。収入もついてくる。昔は転職ってものが普通ではなかったから、長く続けるっていう環境のなかで、いろんな職業に「名人」が生まれたんじゃないですかね。もちろん、その裏の部分もあるから、今の時代や、人の幸せを思うと迷うところもあります。
でも、人っていつか死にますよね。その死の間際「俺は、一生かけて、この仕事をやり遂げたぞ!」って思えたとしたら、それはとても幸せなことじゃないかな。
きれいな仕事でなくても、脚光を浴びなくても、お金持ちでなかったとしても、その生きざまを見てまっすぐに育った子供達や友人に囲まれて、あるいは惜しまれてその人生を閉じるとすれば、「名人」の人生はとても良い生き方だと思う。
僕も「名人」になりたいし、社員さんにも「名人」になってほしい。
うちの社員に、誇る学歴もなく、真面目が取り柄の、ひたすらに焼杉を焼く人がいます。もう入社以来、30年近くになりますが、彼は焼杉を焼かせたらおそらく世界一の「名人」です。分母はとても小さいとはいえ…
ともあれ、彼の焼いた「焼杉」は、世界のいろんなところに輸出されています。誇らしいことじゃないですか?
うちの会社は基本的に人が辞めません。そういう小さな「名人」を、次々とこの共栄木材で作って行けたら、どんなにか素晴らしい材木屋だろうと思うんです。
ライフワークですね。
難しいことはわかりませんが、木材って、知るほどに面白いです。こんな素晴らしい素材が、日本だけでなく、世界中にあります。環境にやさしい再生可能な素材は、木材以外にありません。環境を叫ばれる今、そのど真ん中の仕事なんです。
木を買ってきて、加工して、「ここにしかないもの、あります」と提案して売る。
思いっきり働き、高収益を出して、みんなで分配して、不正なく納税する。それが共栄木材です。
社員を募集しています。リクナビで来るカッコいい人でなくても、元気で、地味で、真面目で、続く人がいいです。全国の材木屋の子息も良いですね。材木屋の「名人」ネットワークが作れるかもしれない。自薦、他薦、大丈夫です。ご紹介を!