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外壁にもっと美しさを

最近よく思うのですが、日本の住宅はとてもかっこよくキレイになった。一昔前に雑誌に取り上げられていたものが、通常の家となって街並みに溶け込むようになった。その上、断熱も進み、機能性も格段に改良されていると思う。地耐力の検査をして基礎をつくるので建築後の建物の歪みなんかもほとんどないんじゃないかな?キッチンも、トイレも、お風呂も充実していると思う。

その上で、これだけ進んだ日本の住宅に、あえて外壁と床には、僕の頭には疑問符が点滅するのです。市街化地域では、耐火性能のせいか、外壁に木材を使おうとするととてもハードルが高くなります。いわゆる窯業系サイディングが日本の景観を作っていますが、これだけは、素直に「美しい!」と思えません。経年美も感じません。
何より火事はお隣からくるものでなく、自分の家から発生するんです。もちろん貰い火もあるから一概には言えませんが、今の時代、焼夷弾が空から落ちてきません。家の内側から火事にならない限り、火事は起きません。
外壁に板が全てとは言いません。左官壁もいいと思います。何十年か後、家を壊す時に板なら燃料になります。CO2も発生しないことになっています。もう少し、昔からある日本の板張り文化を住宅や、街並みを美しくするために再生できないものですかね?

床材も同様で、階段とか床材こそ、それこそ住宅仕上げ部材の中で一番酷使される部材ですが、だからこそ経年美を感じさせる素材にしてほしいと思うんです。
京都・二条城の廊下の板が新建材だったら?「やめてよ!」ってなります。清水寺の檜舞台が「変色が嫌だから、樹脂デッキにしました!」なんて言われると、「それは良い!」って、ほんとうにみんな思うのでしょうか?

木材はいくらでもあるんです。ものによるけど、価格もサイディングより安い。日本中に製材所はあるから、いつでもどこでも簡単に入手できます。木材は再生可能素材だから、使用しているうちに、次の樹木が森で大きく育っています。だから環境にいい素材の究極なんです。
燃えることに関しては、例えば30㎜くらいに分厚くすれば、20分燃えても約15㎜程度しか燃えないからまだ15㎜残ります。市街地で火事発生から20分以内で消防車の消火活動は開始されると聞きます。だから30㎜を使えば事は足ります。
150年度程前にペリーが黒船で浦賀にやってきて、江戸への上京の際、道すがらの板張りの家々を見て「何と美しい!質素ながら極めて清潔で、むしろパリの街並みより美しい街並みだ!」と話したと聞きます。そう、板張りの街並みは日本人の美意識そのものなんじゃないですかね。

これだけかっこよく美しくなってきた日本の住宅、街並みを、更に美しいものにするためには、建築家と材木屋がそれぞれに知恵を出し合っていけば、多くの時間を掛けずに美しい日本の再生となると思うのですが…日本中、インフラは整っています。


西下

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