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フローリングの変遷

あくまでも、私の場合の話ですが、私が仕事を始めてからの、フローリングについてです。

始りに、僕が小さい頃の住んでいた家はほとんど畳間で廊下には桜の縁甲板が張られていました。今思うと大変に貴重な木材ですが、当時はいくらでもあったんです。で、僕が仕事をし始めるころには、合板の上に薄い単板を張りウレタン塗装した新建材フローリングがものすごい勢いで世の中に広がっていました。その中でうちは中米ホンデュラス産の松の赤柾目の床材を一生懸命に売っていましたが、「無垢材なんかは、時代遅れじゃ!大手は新建材じゃ!」と罵られることも多かったです。なんかおかしいなぁと思いつつも、ほそぼそ「大手が作るって言っても、あの目が痛くなるような床材より無垢がええ!」と頑張っていました。やがて輸入住宅なるものが一瞬世を席巻し、その時に改めてカナダやアメリカの家が無垢フローリングを使っているということで、無垢材フローリングが日の目を見ることになりました。やがてブームは去りましたが、中国から縦継された、いわゆるユニーと言われるものがどんどん入荷してきましたが、僕は一貫して「ウレタン塗装品はいらん!」と、当初から自然オイルを塗布したものだけ輸入し始めました。その後、オイル仕上げは国内市場でも定着してきて、今では当たり前になっている部分もあります。
そして今、中国東北部では、広葉樹の伐採が数年前から禁止され、ロシアは丸太の輸出を禁止。熱帯地方は違法伐採を禁止し、と矢継ぎ早に広葉樹、照葉樹が入荷しにくくなってきました。
となれば、新しいコンセプトでキレイな板を薄くして、その他の部分で作った合板の上に張ることで、無垢材よりも多くの面積を確保したいと、価格の為でなく、むしろ環境負荷を下げる試みで積層フローリングが増えてきています。
また、一方、25年くらい前にカナダで一般的に使われていたSPF材から作るフローリングをみて、「厚くすれば杉でもいけそう」と杉の30㎜仕上がりフローリングを定番商品として販売したところ、「なんで杉なん!柔らかすぎでしょ、杉はないよ!」とまた罵られました。今では、「杉もええね」とすっかり市民権を得ましたが、当時愛媛県内でも杉を定番化している材木屋は、僕が知っている限り他にありませんでした。

世の中は移り変わりますが、床材とはいえ、移ろいます。ユニー型のフローリングは価格競争一辺倒で、僕が知ってる同業他社も一様に手を引きたがっています。
ユニーはそのうち消えていく商品だと思います。材料を無駄にしない良いアイディアだったんでしょうけど、材料の無駄は積層として貼り合わせることで無くしていく。僕は、いろんな変遷の中でも無垢を勧めていきたいと思うのですが、広葉樹から針葉樹への移行は自然を守る意味でも大切ではないかと思っています。

自分たちの時代がお金を持ったから、高くても何百年も経た木材を気分ひとつで伐採してしまうのは、一種自然への冒涜です。とはいえ、広葉樹に生きている人も生きていかないかんから、適度に、自然サイクルの中で(はい、サスティナビリティです)広葉樹も伐採すべきとは思います。
何より大切なのは、壊さないこと、使い続けること。それに対応できるフローリングをこれからも提案していきたいと思っています。

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