弊社の場合は、無垢材の取り扱いが仕事の大半です。よって、木材が持つ、色違い、木目違い、小ひび、割れ、反り、節、伸縮等々、結構いろいろな問題が様々な場面で出てきます。
例えば、一等材で受注をして、たまたま節の少ない木のロットの場合があります。次のロットは通常通りの節加減だとすると、お客さんから不満が出ます。節の少ない木材の注文時に「それなりの価格なんだから、ある程度、色や木目が揃ってないのは困る。」反った、割れた、節が外れた、空いた…
例えば、京都の二条城をよく見て頂きたい。観光に行った皆さんは「さすが、風合いがあるね。本物の木は良いよねぇ」と。で、改めてよく見て頂きたい。板の表面には傷があるし、節もあるし、反りもあるし、小ひびもあるし、隙間もある。表面の飴色の床は新品の時の色とは全く違う。良い方を替えれば当初の色違いすらも分からない程に艶が出ている。大抵の人はそれを「美しい」と言う。いわゆる新建材には要求できない価値観、美意識なのです。僕らはそのギャップの中で仕事をしています。その説明こそが僕ら、材木屋の本来の仕事のひとつなんだと思います。それを「面倒く」さいと思うなら、業者は新建材の世界で活躍すればいいし、お客さんも新建材を選ばれた方が良い。
結婚とかも同じだと思うのですが、面倒くささもあるし、時間が長いし。この面倒くささや時間の長さの中に、生活のエッセンスが隠れているように思います。
ふとした時にこの面倒くささから生まれてくる、心温まる美しさや、安らぎみたいなものを感じることがあります。それこそ、材木屋としての喜びです。